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第9話:やさしく説明する練習「ladybird」
今回は出てこない単語を、知っている単語でやさしく説明する練習
です。
例題は「てんとう虫」。英語では「Ladybird」ですね。
英英辞典で Ladybird を調べようとしていたら、ふと Wikipedia に
目がいって、そこには次のようなことが書かれていました。
「レディバード (Ladybird) とは、英語で「てんとう虫」の意。」
これは調べていた内容ですが・・、
----------------------------
レディ・バード・ジョンソン
アメリカ合衆国大統領リンドン・ジョンソン夫人でアメリカ合衆国
のファーストレディ。
本名は、クラウディア=アルタ・テーラー=ジョンソンで、
レディバードは愛称。
----------------------------
知りませんでした・・・
が、どうもこちらは目的外の説明だったようです。
さて、英英辞典を調べた結果です。
noun(名詞)
■collins cobuild (British English):
any of various small brightly coloured beetles of the family Coccinellidae,
such as Adalia bipunctata (two-spotted ladybird),
which has red elytra marked with black spots Usual US and Canadian name: ladybug
■collins cobuild (American English):
any of a family (Coccinellidae) of small, roundish beetles with spotted backs,
usually brightly colored: they feed chiefly on insect pests and their eggs
ちょっと複雑なので、
■Longman:
a small round beetle (=a type of insect) that is usually red with black spots
と表現されていました。
「小さな」「丸い」「甲虫」 そして、通常「黒い点」のある「赤」
というキーワードを使っています。
■復習:
以前の練習例の一つ、「冷蔵庫」は次のように説明していました。
a big box / for cooling foods / in the kitchen
大きな箱 食物を冷やすため キッチンで
↓ ↓ ↓
①姿・形 ②機能、働き ③場所
↓ ↓ ↓
大きな範囲か 部分の特徴や その語を特定する
らの絞りこみ 機能等 ための追加情報
ということで、ここでは次のように組み立ててみました。
■上・中級表現:
It is a small rounded insect that has a red or yellow body
with black spots on it.
それは赤か黄色の体で、上には黒い斑点のある小さな丸い昆虫です。
It is a small rounded insect
 ̄ ̄ ̄
that has a red or yellow body
 ̄ ̄ ̄ ̄
with black spots on it.
 ̄ ̄
それは小さな丸い昆虫です。
-赤または黄色の体がある。
-その上に黒い斑点がある。
■初級表現:
やはり簡単な初級表現で、サッと言えるようにしておきます。
文の構成を考えずに、順に特徴を並べていけば良く、とても
わかり易いので。(相手にも)
It is a small rounded insect.
It has a red or yellow body.
There are some black spots on it. (この it は body です)
ただ、文を並べただけじゃぁないか・・と言われそうですが、
それでいいのです。わたしはいつもこれです。
あれこれ考えて時間たってから話すより、レスポンス良くパパパッと
3つの文を言ってしまいます。
以上で、今回の練習は終わりですが、あれこれと調べているうちに、
てんとう虫にはいろいろおもしろい話があることがわかりました。
ここからは「脱線」です。
てんとう虫は ladybird ですが、Ladybug や lady beetle、
ladybird beetle と書かれているものがあり、
また訳には「浮気な女、移り気な女」というものもありました。
何か意味深です・・。
beetle は 甲虫(カブトムシ、クワガタ、ホタルなど)で、ド近眼の
人という意味もあります。
さて、ここからが脱線のメインです。
てんとう虫って日本語ではどう書くか知っているでしょうか?
・
・
そうです「天道虫」です。
■なんで「天道虫」と書くのか?
繰り返しになりますが、てんとう虫は英語では「Lady Bird(Lady Bug)」
と呼びます。イギリスでは Ladybird、アメリカでは Ladybug です。
一方、日本では「天道虫」。あまりにも呼び方が違いますね。
その理由はなぜか?
2つの言い伝えが・・。
■その1:
むかし、あるヨーロッパの領主の前で、無実の罪で死刑にされそうに
なっている男がいました。
そのとき1匹のてんとう虫が男の肩に留まったので、男は死刑になる
前に逃がそうとして、フット息をかけて飛ばせました。
するとそのてんとう虫は、少し飛んで別のある男の肩に留まったんで
すね。それを見たその男は、すかさずてんとう虫をたたきつぶしたの
です。
その様子を見ていた領主はふと疑問に思い、再調査をさせたところ、
たたきつぶした男が実は真犯人だったのです。
これでてんとう虫は無実の人を救う虫とされたのでした。
この話が戦国時代に宣教師からもたらされて、「天道常に善人にくみす」
と言われたことから天道虫になったということのようです。
■その2:
天道虫は飛ぶときに木などに登ってから飛び立つ習性があるとのこと。
さらに天道虫の甲羅は赤く、黒い斑点があることから太陽(お天道様)
と黒点を連想させるので、天道虫となったとのことでした。
あなたは、どちらを信じますか?
■英語ではなぜ Ladybird(bug)なのか?
Lady ってどこから来たのでしょうか?
それはテントウムシはとくに7つの斑点があるナナホシてんとう虫は
農作物などに付くあぶら虫を食べてくれる益虫であり、
また聖母マリア様(Our Lady/Virgin Mary/Madonna/Holly Mother)
の7つの悲しみ(The seven sorrows of the Virgin Mary)を表し、
マリア様が赤いマントを着ていたことから、てんとう虫を連想させて、
Ladybirdとなったとのこと。
■おまけ:
てんとう虫には多くの種類があります。
ナナホシてんとう虫は、7つの斑点のある益虫ですが、実は
てんとう虫には28個も背中に斑点があるものもあり、これは害虫だ
そうです。
なので、7つ斑点のテントウムシを見つけたなら、ラッキーのよう。
ちなみに女性のネットなどのニックネームで、何かかわいい名前がな
いかな?・・と探す人多く、そしてこの Ladybird が好んで使われる
ようです。
アメリカの Ladybug よりは、雰囲気がいいですよね。
■参考:
・insect 昆虫、虫
・bug 虫、昆虫(バグ=〔プログラム中の〕不具合、欠陥)
・Gold Beetle コガネムシ
・Stag Beetle クワガタムシ
・Lighting Beetle ホタル
・May Beetle コフキコガネムシ
■「やさしい単語で上手に説明」
第7話:3ポイントで上手に説明する方法
第8話:やさしく言い換えて話す工夫
第10話:やさしく説明するスキルを磨く
第11話:やさしい2つの文に分けて説明
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