第4部:一皮むけた会話力
そのときのわたしの実力は、まさに連続した会話では5分間でした。頭なのかで語順を整え翻訳してから、相手が何を言ったか理解しているのですから、5分間でオーバーヒートするのは当然のことでした。
週1~2回、日本人スナックへ行き同じ女性を指名して、会話の練習を続けました。しかし毎回同じようなパターンで、5分間を過ぎると無言の時間が始まるのでした。
そのときは本当に気まずいものでした。(自分がそう思っているだけ?)
あるときおもしろい話も思いつかなかったので、英語の文法や勉強方法などについて、質問をしました。
「どうやって単語は覚えたらいいの?」
「いろいろあるけど、わたしはあちこちにペタペタと単語メモを貼り付けていた。よく目の付く場所に」
「英語の本とかテキストは使って勉強するの?」
「アメリカの英語だけの文法テキストを使っていた。英語だけで解説された幼稚園や小学生用のテキストを使うのがいいと思うけど」
「良いと思った1冊を、徹底的にやり切るのがいいですね!」
などなど。さすがは大学出たばかりです。上手に返答し教えてくれます。
家庭教師
何となく家庭教師と生徒のような雰囲気になったので、
(あっ、こういうやり方もいいなぁ・・)
と思ったので、聞いてみました。
「英語の勉強をもっとしてみたいんだけど、日曜日に家庭教師をしてもらうことはできないかな?」
と言うと、すぐに
「いいわよ!」
と快諾してくれました。
このあとの細かい経過は、「体験談」の9:ベトナム家庭教師との勉強の項に載せていますので、よろしければご確認ください。
1時間5ドルで家庭教師を引き受けてもらい、日曜日に4時間、ベトナムに多いオープンカフェで、英語だけの時間が始まりました。
毎回、甘いキャラメルのような香りのする、ベトナムコーヒーを何杯も飲みながら、1時間を文法の勉強、残る1時間を質疑応答やフリートーキングするというようにやってました。
時が経つのは早いもので、あっという間に3ヶ月半が過ぎました。そして家庭教師との勉強の成果を確認できるときが来たのです。
5分が30分に
ある時、家庭教師の先生と一緒にテーマパークに行きました。そしてそこのボートに乗って湖を移動しながら、いろいろな会話をしたのです。
会社のこと、帰国のこと、日本のこと・・など。また、ハノイの大学のこと、将来の夢、海外カンパニーへの就職を考えていること・・など。
とにかくいろいろと、切れ目なく会話をしました。
そして予定したコースが終わり出発点にもどったときは、すでに30分以上を経過していました。
そして驚いたのです!
ただただ話しに夢中になり時間のことを忘れていたのですが、ボートを降りたときに、連続して30分以上話していたことに気がついたのです。
このときの気持ちは、今でも忘れていません。
「あー、これからは”わたしは英語が話せますよ”と言えるんだー!」
成果のまとめ
3ヶ月半の勉強で変わった事をまとめてみますと、
・連続して30分以上話せるようになった
・英文を少しずつ繋げながら、話すやり方がわかった
・テンポ良く会話できることが、楽しいと感じれるようになった
英語苦手のコンプレックス人間が、生まれて初めて30分も英会話ができるようになり、何か別のゾーンに入れたような気分になりました。
英会話ができるようになると、
・積極的に人と話すことができる
・友達も大勢作れるようになった
・会話することが本当に楽しいと感じれる
ようになりました。
ベトナムで実践した勉強方法
家庭教師と一緒にやった勉強以外に、自分ひとりでもいろいろとやっていました。その部分も自分なりに効果があったなと感じていますので、整理してみました。
1)中学英語の基本文を毎朝起きたらすぐに音読
3回繰り返し。5分間程度。
⇒これはそのときの自分にとってすごく効果が大きかったです!
話せない自分が話せるようになるための、壁を乗り越えるための最重要訓練だったと感じています。
会話するときのベースとなる基本の文を、頭の中に作り込むことになったと思います。これがあったので、単語を入れ換えての応用編がトライできたのでした。
2)実践トライ
週1回日曜に家庭教師との勉強。上に書いた通りです。
3)復習
家庭教師との会話で、言えなかった表現について復習しました。
⇒単語や例文を調べて文章を作りました。
そして次回のレッスンとき、その文章を見ながら再トライです。正しくないとすぐに修正され、理由を説明してもらいました。
これを1週間サイクルで、何度も繰り返したのでした。
このやり方で良かった点
1)楽しいから続く。
・若い女性に教えてもらうので楽しい。
・プライベート上なので身構える部分なし。
・相手は同じ非ネイティブなのでリラックス。
2)口惜しいから復習する。
・言いたいことが言えなかったときは口惜しい。
・次があるので復習/予習。
・次は必ず通じさせるぞと努力。
このように強い感情が伴っての勉強は、記憶にとてもよく残りました。頭が錆びている中高年なのですが・・。
3)相手がある訓練がベスト
・会話には筋書きがなく、臨機応変な対応が必要。
・時間的制約の中での訓練が良い(許容時間内に必ず何かの返答が必要)
の3点。
最重要ポイント
良く考えてみたら、もう一つだけ別のとても重要なポイントがありました。何かと言うと「環境」です。
この勉強をしているときは、まったく日本語を使わなかったことです。近くに日本人が一人もいないところでやっていたからです。
朝9時にマンションを出て移動。
オープンカフェに着いたら静かな場所へ移動し着席。
2時間会話訓練し、昼食、移動、帰宅。
9時から1時までの4時間は、一切英語オンリーの状態でした。
この英語だけの環境に浸るということがとても大事なのだと、今さらながら感じています。
英会話を学習するものにとって、英語だけに浸れる環境をどうやって作るかが、別の意味でとても重要なポイントになると思います。
ただ英会話を机に座って勉強するというのではなく、話しをしたくなるような、また質問をしたくなるような相手がいて、更には体を動かして行動をしながら勉強をする。
頭と体を動かしながら、そして体験を重ねながら勉強をするということが、とても有効なのではないかと思います。
わたしはこれをしっかりと3ヶ月半やったおかげで、楽に30分以上の会話ができるようになりました。
(続く)
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