レストランの入口で怒り爆発!頭の上から噴火(後編)
前回、レストランへの入室を断られて怒りが爆発。
「こんなレストラン、もう2度と来るか!」
と、早々に引き上げたのですが、妻の悲しそうな顔を見て怒りを鎮め、時間をずらして再予約。
ブラックの革靴を調達したあとに再トライし、
「 Perfect ! 」
の一言で、ようやく中に入ることができたのでした。
例のスタッフ(もしかしてマネージャー)にレストラン内に入ることを認めてもらえたので、「やれやれ・・」と心の中で呟きながら中に案内されて行きました。
テーブルへ移動
20組は入ると思われる広い室内に、我々を入れてまだ3組。
お客が少ないから・・と、店のポリシーを緩めることはまったくしないペニンシュラホテルのレストラン。まあ、一流どころは簡単には妥協しない・・という姿勢は、当然なのでしょうね。
左側が生演奏のエリアとなっており、比較的近い奥の静かなテーブル席に案内してもらい、着席しました。店のスタッフに椅子を引いてもらって座るのは、久しぶりです。
間髪を入れず絶妙なタイミングでボーイがやってきて、ワイン・料理の注文を確認して行きました。初めての場所で良くわからないので、当然のようにコース料理をオーダー。もちろん全て英語でのやり取り。
1品1品持ってきてセットするたびに、毎回丁寧に料理の説明をしていきます。妻は英語がわからないのとお腹がすいているため、
「あー早く行ってくれないかなー。もう食べたいんだけど・・」
という顔をしています。
わたしは、その都度
「Thank you.」‥、「Thank you.」‥、「Thank you.」‥、
・・と。
鋼の心をもつスタッフ再接近
少しあとになって、例の入り口でもめたスタッフ(もしかしてマネージャー)が寄ってきました。そして、
「料理はいかがでしょうか?」
「日本からおいでですか?」
「観光でいらしたのですか?」
と、香港へ来た理由を尋ねてきました。
そこでわたしは、
「実は結婚20周年記念なので、二人だけで香港に来たんです。」
というと、
「それはそれは、よろしいですね!」
と言ったあと、すぐにどこかへ行ってしまいました。
それで会話をしながらゆっくりと料理を味わっていると、今度は何かを持ってまたこちらの方へやってきました。
何と!結婚20周年だと聞いたのですぐにキッチンコーナーに行き、料理を作るスタッフに話をして、記念の
「デコレーション+ローソク+おめでとうの文字」
を即席で作り、持ってきてくれたのでした。
そして、テーブルの二人が座っている側の中央に置き、にこやかな笑顔で、
「 Congratulations ! 」
と一言。
さらに、生演奏をやっているグループのリーダーへ近寄って行き、そっと耳打ちをしていました。するとすぐにヴォーカルの人がやってきて、
「何か歌をプレゼントしたいので、日本の曲をリクエストして下さい!」
「エッ!」
と、少しびっくり。
先ほどのスタッフが気をきかせてくれたのだと感じ、曲を選んで伝えました。
残念ながらいくつか選んで伝えたのですが「sorry」とのことで、結局、自分から、
「越路吹雪の愛の賛歌はいかがですか?」
・・と。
「もちろんOKです。どうぞお願いします!」
と返答。
そして静かに演奏が始まり、彼女は愛の賛歌を歌い始めました。
「あなたの燃える手で・・・・」
さすがです!まさにプロ。すごい歌唱力!
自分で指定しただけはあります。
本当にすばらしい声でした!
いろいろと複雑な感情の上げ下げがあったあとなので、とにかく「感無量!」と言う気持ちで一杯でした。
入場する時は、
「こんなところ!」
「何だこのスタッフは!」
という気持ちで入ってきたのですが、
最初にひと騒動あったことによって、我々を意識してサポートしてくれて、さらには一旦来場したお客さんに対しては1流のサービスをする。そして、楽しく気持ち良い時間を過ごしてもらおうという、サービスのプロを感じさせられたひとときとなったのでした。
帰りのエレベーターの中で、一言
「こんなレストラン・・・・・・・・また、来たいなぁ!」
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