レストランの入口で怒り爆発!頭の上から噴火(前編)
夕暮れの香港九龍、とあるレストランの入口の前で、大声で叫びました(心の中でです)。
「こんなレストランなんか、もう2度と来るか!!」
時は2010年、結婚20周年の記念で、妻と一緒に香港へ旅行に行ったときのことです。
「今回は記念なんだから・・」
と言って、普段は高くて泊まれないペニンシュラホテルを初めて予約し、宿泊することにしたのでした。そして、夕方には、かの有名なフランス料理を食べに行こうと、こちらも随分前に予約しておいたのでした。
予約したときの返信メール(もちろん英文)には、空港までのお迎え用リムジンの申し込みのことや、フランス料理のレストランにはドレスコードがあることなども詳細に書かれていました。
■ドレスコード:
エレガント。
ジーンズ、スポーツウェア、サンダルの着用はご遠慮ください。
男性のお客様は、サンダル以外の靴、長ズボン、長袖/襟付きのシャツをご着用ください。
鋼の心を持つスタッフ
夏の暑い香港ですが、妻に高級なフランス料理を食べさせてあげたいと、重たい紺色のブレザーと襟付きの鹿子シャツ、そして白色のスラックスをボストンバッグに詰め込んで来たのでした。
予約した時間の15分前となり、意気揚々とレストランのある階に向かいました。
ホテルの中には、レストランにつながる専用のエレベーターがあり、その階に到着するとまっすぐ入り口に向かって歩いていきました。
中に入ろうとすると、制服をビシッときめたスタッフがすぐにやってきて、
「いらっしゃいませ!」
と言いながら、わたしの全身を素早くチェック。
チラッと一目見たあと、すぐに言いました。
「お客様。申し訳ありませんが、その服装では当レストランに入ることはできません。」
「どうしてですか?」
「メールに書いてあったように、フォーマルな服装で来ましたけど。」
「申し訳ございません。上の服装はよろしいのですが、靴がスポーツタイプのものですので、お入りいただくことができません。」
「これはスポーツタイプのものに見えるけど、間違いなく革靴ですよ!」
「申し訳ございませんが、革靴でも色が白くてスポーツタイプに見えるものは許可することができないのです。」
・・何度も・・何度も・・食い下がって説明したのですが、結局は同じでした。
おそらく責任者にしっかりと言われており、自分の判断で許可することはできなかったのでしょう。
夏休みの旅行に、高級レストランで妻においしい料理を食べさせようと、重たいブレザーやスラックス、靴をこの1回のために持ってきたというのに・・。
「こんなレストランなんか2度と来るか!!」
・・・・でした。
再チャレンジ
妻はとても楽しみにしていただけに、ガッカリとした表情で途方に暮れた雰囲気です。私の頭の中は真っ赤なマグマが渦巻いていたのですが、妻の顔を見て少しだけ冷静になりました。
「よし、何とかしよう!」
と思い直し、1階に戻ってフロントへ行きました。
「Excuse me. My name is ○○. Room No is △△.」
「I'd like to make a reservation for dinner at the French restaurant again.」
と言いました。すると係員は、
「Well, Mr.○○. You already have the reservation. What's the matter?」
と聞いてきたので、
「I couldn't go into there. Because the staff told me my shoes looks like sneaker so I can't.」
と説明。
係員は納得して詫びながら、再度1時間後の予約を取り直してくれたのでした。
黒い革靴で・・
それからは・・ダッシュです。道路向かいにSOGOがあるので、急いで地下道を渡り店の中へ移動。黒系統の革靴を探し回りました。夏場でしたのでほとんどの店に革靴は並べられていません。それでも何軒かの店の人に聞いて、置いてある店を見つけました。
素早くサイズを確認して購入し、ホテルに戻って「黒い革靴」に履き替えてから、同じエレベーターでレストランの階へ上昇。扉が開くとすぐに、ツカツカツカ・・とレストランの入り口へ直進です!
絵に描いたように同じところから同じスタッフがやってきました。
私は少し声を高めに、
「How about this time ?」
と力んでいうと、そのスタッフは一言、
「 Perfect! 」
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