カタコト英語の方がなぜ通じる(その2)
決してカタコトの方が良いと言っているわけではありません。
初級者がきちんとした英文を話そうとし過ぎて、モタモタした会話をするくらいなら、要点を押さえた歯切れの良いカタコト英語の方が通じ易いことも多々あるということを言っているだけです。
また、カタコトで通じさせようとするからこそ、話す順番やイントネーション、そしてリズムがあると。
飛行機で飲み物を頼むとき
海外線の航空機内では、通常離陸して少しすると飲み物(ジュースやビールなど)の案内があり、その後食事が出てきます。洋食か和食、あるいは肉か魚かを選択をすることが多いです。
そしてそのあとは再び飲み物(お茶やコーヒー、あるいはお酒の追加など)を出すという流れが多かったですね。
そのようなタイミングのときに、コーヒーが飲みたくなったので、キャビンアテンダントの人を呼び止めて、教科書通り
May I have a cup of coffee?
というよりも、
Coffee, please.
と言ったほうが、わかり易くてすぐに通じます。
当然ですよね。
食後の飲み物を配ろうとしているタイミング、「何にしますか?」という局面のときに、
「わたしは1杯のコーヒーが欲しいです。」
とは、1度も言ったことがありません。
フォーマルな場所ではないし、飲み物を確認するという局面になっているので、
「コーヒーを、お願いします」
だけで十分なのです。
また、親しい友人などと好きな趣味の話をしているときに、堅苦しい長い文で会話をすることは、逆に少ないのではないでしょうか。
このように、会話のための環境が絞り込まれているときには、堅苦しい話し方をするとよけいわかりにくくなるときがあります。何でこの人はこんな会話のときに、あらたまった話し方をするんだろう・・みたいな。
電話でレストランに予約するとき
もしも、話の前提や環境が揃っていないときには、先にお互いのレベルを揃えるため、要領よくわかり易い文で同じレベルにもっていく必要があります。
しかし、上のコーヒーの例のように、ある程度会話の内容が決まっているときは、シンプルなポイントを押さえた話し方が良いんだ・・と、とても感心されられたケースが他にもあります。
海外に赴任して間もない頃の話です。
あるとき、日本からお客さんが来るため、電話でレストランの予約をしようとしたときのこと。
電話でどう言おうかと、予約のための文を考えていたときに、海外経験の長い同僚が
「あっ、僕がやっておくよ!」
と一言って、受話器を取り、レストランのダイヤルを押して、相手が出たので話し始めました。
相手:Good Afternoon.
This is Ocean Restaurant.
My name is ◇◇, how may I help you?
同僚:Hello, I am △△.
Reservation for tomorrow night, OK ?
相手:Ok. What 20:08:56
同僚:6:30.
相手:How many people?
同僚:Four, please.
相手:Ok. Phone number, please.
同僚:1383--------.Ok?
相手:Ok. Thank you.....
というように、本当にシンプルな会話で進んでいきました。
特に感心した部分
この会話を横で聞いていて、本当に「おっ!」と思ったのは、最初の
Reservation for tomorrow night, OK ?
の部分でした。
わたしが最初に考えていた文は、
I would like to make a reservation for ‥.
わたしはあしたの夜の予約がしたい・・
という文で、少し堅苦しい文に思えて、自分は学校で習ったことにすごく縛られているなと感じさせられたのでした。
フォーマルな文が悪いわけではありませんが、いつも自分がそのような文をトレースして話そうとしていることに対して、もっとシンプルな話し方で楽に話していいんだ・・と、強く感じた体験だったのです。
まだまだ会話レベルが低くて、まずは相手とコミュニケーションが取れれば良いというレベルならば、簡単でシンプルな話し方も十分ありなんだと。
あとでこの会話のポイントを考え直してみたとき、とても上手な話し方をしているなと思いました。
レストランに電話したときに、こちらの話し方によってはいろんな会話のパターンになる可能性があります。
しかし、最初に「Reservation」と一言言えば、そこで双方の意識が「レストラン-予約」に絞り込まれるわけです。そのあとの会話は、とてもわかり易い会話のキャッチボールとなりました。
ここ思ったことは、相手に自分の何かを説明したいときに、いかに簡単でわかり易く説明して、相手を話したい話題に誘導するのかということです。
この部分がとても大事だなと。
例えカタコトやシンプルな文であっても、ポイントを押さえた上手な話し方をするという部分は、まだまだ研究の余地があると感じさせられたのでした。
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