カタコト英語の方がなぜ通じる・・

今まで海外で多くの人達とコミュニケーションをしてきましたが、ほとんどが英語。
アメリカやカナダは当然ですが、アジア圏でも同じように英語でした。

タイ、ベトナム、フィリピン、韓国、台湾、香港など、全て英語でコミュニケーションをとってきたのですが、唯一、中国でだけは中国語でした。

communication

中国でも学校では英語を習っていると聞きますが、実際のところ、上海などの大都会の一部や、都市部の一流ホテルを除くと中国国内のほとんどの場所で、英語はまったく通じませんでした。

まあそういった海外でのいろいろな英語体験の中で、何度かカタコト英語の方が良く通じるという経験をしたことがあります。

■例1:ある夫妻のケース

海外で会社経営をしている、ある友人夫妻のケースです。

そのご主人は、長年仕事で海外滞在をしており、我流で身に付けたカタコト的英語でポンポンと話をしていく人でした。

一方、奥様はというと、ご主人に付き添って海外に一緒に行ったのですが、最初の頃は時間を持て余すし、外へ出ても言葉が通じないしで、結局、友人作りを兼ねて英語学校へ通い英会話の勉強を始めたのでした。

英語だけが通じる環境の中で、5年以上も英語学校に通い続けた結果、英会話ができるようなったのでした。

その後、奥様はしっかりした英会話ができるようになっていたので、ご主人の会社の外交的な部分の一部を手伝うようになっていったのでした。

二人の英語を何度か聞いて、自分では奥様の英語の方がずい分レベルが上だなと、常々感じていたものです。やはり学校に行って、基本からしっかり勉強すると違うもんだなと。

ところが・・です。

あるとき、新入社員を募集して、その応募者と面接をすることになったときのこと。
ご主人がカタコト的英語で説明した方が、はるかによく通じるというところを間の当たりに見たのでした。

 
 
■会社説明会で・・

新入社員の候補者達に、会社の業務内容や業績、組織やルールなどについて説明をすることになり、しっかりした英語を話す奥様が前半を、取引先や実務内容の説明となる後半を、ご主人が担当することになりました。

そして、その説明会がスタート。

まずは奥様が、教科書に載っているような英語で、スムーズに業務の説明を開始。
会場の中はシーンとなって物音一つしません。私は座って説明を聞いている新入社員候補たちの顔を見てみると、みな少し緊張した感じで身動きもせずにで聞いています。
表情を変化させたりうなずいたりするような人もいません。

何となくですが、私にはみんなよくわかって聞いているような雰囲気には見えませんでした。

しかし途中から、カタコト的英語で話すご主人にバトンタッチ。

カタコト的話し方ですが、声は大きくてイントネーションもハッキリ。身振り手振りも入れてしっかりポイントを強調して話をしています。ときにはちょっとしたジョークを入れて、一人で大きな声を出して笑ったりしています。

改めて聞いているみんなの顔付を見てみると、少しリラックスした感じになり顔の表情はゆるんでいます。笑顔の人もいて普段着状態に戻ったような感じです。何回かうなずいたりする人もいました。

わたしの目には、聞いている人たちの理解度が随分と違うように見えたのでした。

・英語はカタコトで、少々発音が悪くても良い。
・声の大きさやイントネーション、そしてジェスチャーなどを入れた話し方の方が
 より重要である。

と感じさせられた経験でした。

■コミュニケーションのポイント

しっかりした英語で話すという場合、話す方にとっても聞く方にとっても、英語の基礎能力のレベルが高くて、しっかりとポイントを強調したアクセントで話すような会話力があれば、まったく問題はないと思います。

しかし、私たちのようにレベルが低い中で、ポイントが不明瞭で長くむずかしい文章で話しても、よけいわかりにくくなるものであるということを、何度も感じています。
(先に話した奥様は、もっともっとレベルの高い人でしたが)

それよりも、その会話のポイントや相手の求めている答えを、しかるべき強さでズバッと言う方が、相手にとってとてもわかり易いものだということです。

話す方と聞く方の双方が、その話をするための条件が揃っている場合には、まさにポイントをついたカタコト的英語が、よりわかり易いと感じた瞬間でした。
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