トップ英語学習にレミニセンス現象を活用

英語学習にレミニセンス現象を活用

 今回は、少し英語の話題より脱線です。
 みなさんはレミニセンス現象というものを、知っているでしょうか?

 例えば‥‥
 ・昨日まではうろ覚えだったのに、なぜか今日はスラスラ思い出せる。
 ・何回トライしてもできなかったことが、次の日、何となくやってみ
  たら簡単にできた。
 ・長い時間悩んでいたことが、寝て起きたらなぜかあっさり解決した。
 ・最後まで一夜漬けでやり切るよりも、「まあこんなもんかな…」と
  いうところで早く寝てしまった方が、次の日のテストの成績が良い。

 こんなこと、よくありませんか?
 実はこれはレミニセンス現象の成せるワザのようなのです。

 連日、気力で英語の学習を継続している人に水をさすのではありませ
 んが、人間の記憶には複雑な働きをする部分があって、単に休み無し
 で学習を繰り返すことは、ときにはその効率を下げることにつながる
 ということ。

 言い方を変えると、学習したことをより効率良く頭の中に定着させる
 ためには、途中に「休憩」を入れることが必要だということ。

 「何のこっちゃ!」と、わからない人がいるかと思いますので、
 最初から説明をしますね。

 まず、レミニセンス現象とは、
  記銘した直後よりも、一定時間が経ってからのほうがよく記憶を
  思い出すことが出来るという現象で、記憶の定着は、学習より少し
  あとに起こるという現象のこと。

 reminiscence

 また、想起する時間や種類によって、
  ①ワード・ホブランド効果  (Ward-Hovland phenomenon)
  ②バラード・ウィリアムズ効果(Ballard-Williams phenomenon)
 の2つに分類されるよう。

 ワード・ホブランド効果とは、
  意味を持たない内容の記憶(無意味綴り)について起こるレミニ
  センスをワード・ホブランド効果といい、10分以内に起こる。

 バラード・ウィリアムズ効果とは、
  意味を持った内容の記憶について起こるレミニセンスで、バラード
  ・ウィリアムズ効果といい、数日の間に起こるよう。

  今回話している英語学習などへの効果は、こちらの方になると思い
  ます。俳優がドラマの台本を覚えたりするのも、こちらの効果に
  関係すると思われます。

 「記憶」というのは普通、時間とともに薄れていくものだと思われて
 います。しかし、「記憶直後」と「記憶から一定時間経過後」では、
 後者の方がよく記憶を想起できるときがあります。

 これが「レミニセンス現象」なので、その特徴を良く知って学習する
 ことにより、効率の良い進め方ができるようになります。

 

レミニセンス現象の起こる理由

 それでは、レミニセンス現象は、なぜ起こるのでしょうか?

 ◇一定時間の経過によって、(特に睡眠や休憩によって)
  ⇒「集中力の低下」や「飽き」など、記憶の想起を邪魔する要素が
   減ってくる
  ⇒脳内で記憶が「整理」されて、記憶を想起しやすい状態になる

 といったところで、「一定時間」というのは、数分程度から数日単位
 まであるようです。

 そしてこのレミニセンス現象は、「記憶」という言葉から連想される
 「暗記学習」などだけでなく、運動記憶や視聴覚などの感覚の記憶に
 ついても起こることが知られています。

 つまり・・運動のトレーニングや音楽トレーニングなど、あらゆる
 トレーニングでレミニセンス現象は起こりうるということ。

 レミニセンスは、記憶するための学習の程度にもよって異なって、
 通常学習の場合は、分散的学習よりも集中学習のときの方が生じ易い
 ようです。

休憩が重要

 このレミニセンス現象を踏まえて、学習の進め方を考えてみると、

 ①反復練習をすると、「成果」と同時に「抑制効果」もたまってくる
  ⇒繰り返すほどにどんどん成績は落ちてくるので、休憩が必要!

 ②練習内容を叩き込んだら、それを消化して整理する時間が必要
  ⇒ある程度叩き込んだら、時間を置かないと、それ以上成績は上が
   らないので、休憩が必要!

 ③練習による成長や記憶の定着が実感できるまでには、少々の
  タイムラグが生じる
  ⇒無闇に詰め込むより、時間を置いて様子を見ながら練習するのが
   効率的
  ⇒必要な分だけしっかりこなしておけば、そのうち急にできるよう
   になるので安心して継続すること!

 ということになるようです。

 日本人の場合、国民性として、

  ・反復練習が大好き!休憩は時間の浪費!やった分だけ伸びるので
   どこまでも反復!
  ・反復練習中に成績が落ちてきたら、それは根性が足りない!
   さらなる反復が必要!
  ・できない‥怖い‥もっともっと練習しないと‥、できるまで反復
   練習して確実に身につけないと‥

 というようなメンタリティーやそれに基づくオーバーワークが問題視
 されたりしますが、勉強にせよトレーニングにせよ現代の常識では、
 「ある程度練習したら、きっちり休憩することが絶対必要
 となりますので、そのような意識を持つ必要があります。

 たまにいる「休憩は甘え!」と言う人などは、逆効果を招いている
 可能性もあるので、もう一度、レミニセンス現象のことを頭に置いて、
 冷静に学習計画を考えるべきでしょう。

まとめ

 ①学習した直後より、ある一定時間置いた方がより思い出せる・・
  という現象があることを知る。

 ②休み無しで根を詰めて学習し続けるよりも、適当なタイミングに
  適当な「休憩」を入れる方が、記憶の効率が良くなる。
 

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